絵描きの世界一周の旅にはストレスが付きまとう

 

絵具道具、そして巨大な折りたたみキャンパス、それに重すぎる水彩用紙のロール、さらにバックパックの中には洋服や一眼レフ、IPad、パソコン、などなど総重量20キロはある荷物を持ち運びながら僕は絵描き世界一周の旅に出発した。

 

 

この大量の荷物があるだけでかなりストレスになるのだが、旅にはトラブルもつきもので僕のストレスをさらに倍増させる出来事が頻繁に起こる。

 

 

しかし、不思議と「もう日本に帰る!」っとはならなかった。

 

 

それもそのはず、世界の旅では、日本では決して味わえない経験や貴重な絵の資料となるものがいくつも存在するからである。

 

 

 

ごくまれに「海外に逃げたのですね!」っと言ってくる頭の悪い人もいるが、必ずと言っていいほどそのような人は、絵で生活する事ができていない。

 

そんな負け組の遠吠えは僕の前では霞んでしまい、まったく聞こえない。

 

そんな事はストレスの一部にもならないのだが、旅をしているとどうしてもトラブルというものが発生してしまい、僕にとってそちらの方がストレスを溜める要因になってしまう。

 

 

ヨーロッパの旅は、ポルトガルから始まった。

 

そこではモンサントと呼ばれる巨石でできた村を訪れる際に、違うモンサントと呼ばれる村に来てしまい時間を浪費したり、

 

スペインではやる気のなさすぎるミッキーを目撃したり、飛行機の予約が

ダブルブッキングになっていたり、

 

イタリアでは絵の新しいインスピレーションを頂いたり

黒人に無理矢理へんてこな商品を販売されそうになったり

 

 

その後もベルギー、オランダ、ドイツと旅をしてきた中で何度もトラブルが発生してきた。

 

そして僕は今チェコからスロバキアに向かう途中のバスにのっている。

 

このチェコから出発する時にもトラブルが発生してしまった。

 

 

チェコで人骨教会を訪れる目的を果たした僕はスロバキアへと向かう決断をした。

 

 

目的はスピシュスキー城と呼ばれる草原の中にそびえ立つ古城を訪れる事。

 

 

新しい地を訪れる時はかなりワクワクする。

 

 

チェコのプラハからスロバキアの首都であるブラチスラバ行きのバスチケットをネットで予約して朝の出発に備えた。

 

 

そして早朝6時に大量の荷物を引きずりながらチェコのバスターミナルへと向かった。

 

 

バスターミナルに到着すると少しずつ太陽が登り始め、いつのまにかバスターミナルを赤く染めている。

 

その時なぜか太陽が2つでる現象を見る事ができた。

 

そしてコーヒーを飲みながらブラチスラバ行きのバスが到着するのを待つ。

 

 

5分程度待ったか・・・

 

 

むこうから大きなバスが移動してくるのが見えた。

 

バスの乗務員がスロバキア行きの乗客を収集するために大声で叫んでいる。

 

 

当然僕もそのバスに向かい、昨日予約した時にメールで送られてきた予約番号を乗務員に見せた。

 

 

すると・・・

 

 

「乗客リストにのってないので乗せれません」

 

 

・・・・・・・

 

 

え〜!!?じゃあこの予約番号のメールは何?

 

 

昨日確実に予約して予約メールまで受け取っているの乗務員は乗せる事が出来ないの一点張り・・・

 

 

どうしても納得ができず、何度も何度もメールの予約番号を見せて説明したが乗務員は「そんなに言うなら受付で確認してきてください」っと言うだけ。

 

 

 

これはまたストレスが溜まりそうだ・・・

 

 

 

仕方なく受付にいって事の内容を説明すると「わからないからインフォメーションセンターに連絡してくれ」との事・・・

 

 

 

ヨーロッパの移動サービスは本当に最悪である。

 

こちらのミスではない事でも何かあれば必ずインフォメーションセンターに連絡しろと言われる。

 

 

 

いつもは面倒で電話しないがこの時はストレスが限界にきていたので、電話してボロカスに言ってやった。

 

 

何やら予約センターのミスだったらしい。

 

 

そしてバスも満員なのでもう乗る事ができないようだ。

 

 

お金もすでにカードで払ってしまっている・・・

 

しかし、バスに乗る事もできない。

 

 

これはもうブチぎれるしかなかった。

 

「金返さな訴えるかなら!」

 

っと言い残し、その会社のサイトにアクセスして今日あった事を事細かに文章にして、トラブルセンターの相談窓口にメールで送信してやった。

 

 

これだけしてもヨーロッパのサービスは無視する事がある。

 

そうなれば本気で訴えてやとうと思った。

 

 

もうどうしようもないので他のバス会社の窓口に行き、ブラチスラバ行きのバスがないか確認してみると意外とすんなり予約する事ができた。

 

再びお金を払わなければならない事にかなりストレスを感じながらも、ようやく僕はブラチスラバへと向かう事ができたのだった。

 

 

バスの中でイライラしながら移動する事約4時間・・・

 

ブラチスラバに到着した僕はすぐに宿を探す事にした。

 

 

スロバキアの首都にもかかわらず、人も少なく、何だか寂しい街の雰囲気が漂っていた。

 

この日は何もする気にもならなかったのでバス停のすぐ近くにあった宿にチェックインしてシャワーを浴びて寝る事にしたのであった。