絵の修行の旅は自分の人生の中でとてつもなく大きな一歩となった。
修行の地はオーストラリアを選んだ。
最初は、どこでもよかったのだが友達にオーストラリアに滞在するならワーホリVISAを取得すると2年間滞在できると教わったので、すぐにワーホリVISAを申請した。
昔から海外を旅する事に強い憧れを抱いていたので、何の恐怖も不安もなかった。
っと言うより、むしろどんな冒険が待っているのかワクワクしていた。
もちろん、この頃は英語なんて
「THIS IS A PEN」
くらいしか分からなかった。
しかし、何故か話せるようになる自信だけはあった。
行き先も
「オーストラリアの上の方」
っとだけ決めていて、そこからは行き先も宿も到着してから決めようと思っていた。
最大の目的は絵の修行。
それさえ出来ればなんの問題もなかったので、とりあえずカバンの中にスケッチブックと絵の具とペンを入れた。
その他に必要な物はヨドバシカメラで全部買いそろえた。
そして飛行機のチケットを購入して出発の2週間前にはすべての準備が整っていた。
あとは、その時を待つばかり。
毎日、興奮とワクワクで寝れなかった。
しかし・・・
出発予定日の一週間前に事件が起きてしまった。
今思い返せば僕の人生はそう簡単にうまく事が運んだ試しがなかった。
弟がバイクで違う世界へと旅だってしまったのだ。
両親も僕もショックで何もできなくなり動く気力も失ってしまった。
もちろん修行の旅も延期になった。
ショックで落ち込んでいる両親をおいて、自分だけ海外に行く事はできなかった。
それから2ヶ月が経過し、ようやく両親が落ち着きを取り戻した頃に話をした。
自分にとってこの修行の旅は人生で大きな武器になる事。
絶対に危険なマネはしない事。
両親も反対する様子もなく心配してくれているのは感じたが、何も言わないで見送ってくれた。
そしてようやく出発する事になったのだった。
目的地は
「オーストラリアの上の方」
っという事だけを決めて意気揚々と飛行機に乗り込んだ。
オーストラリア修行の旅初日であんな事になるとも知らずに・・・