ケアンズで絵を描き始めてすでに数週間が経っていた。
ケアンズの12月は真夏で、僕はいつも公園内の同じ場所で絵を描きながら英語の勉強もしていた。
このラグーンと言う公園は海の側にあり、公園内にもプールが完備されているので誰でも自由に泳ぐ事ができる。
そしてラグーンにいつも来ている夫婦のジャッキーとオノとも顔なじみになり、たまに家に遊びに行ってそのまま泊まる事もしょっちゅうあった。
まだ旅が始まったばかりで英語もろくに話せなかった僕にケアンズの街を車で案内してくれたり、ディナーに誘ってくれたりと、かなり親切にしてもらったケアンズの家族のような存在だ。
家に行くジャッキーとオノの5歳の可愛らしい娘のエリーが、いつも僕に英語を教えてくれる。
英語のスペルをノートに書いて、そのよこに絵で説明を加えてくれるのだ。
僕は家にいくと、いつもエリーと話をしながらのんびり暮らしていた。
英語を勉強する時に肝心なのは、どれだけ外国人とすごす時間を増やすのか?と言う事だ。
大人の英語はその人のクセが強くでてしまうので、子供のような純粋な英語の方が脳に入ってきやすい。
子供は大人のように難しい言い回しもあまりしないし英語の発音にクセもないし、5歳くらいの子になると発音もしっかりしてきているので会話から英語を勉強する時は小さい子と離す事から始めて行く事をお勧めしている。
5歳の子に英語を教えてもらうというのも、そうそうバカにできない事なのである。
そんな事を気づかせてくれたケアンズをそろそろ離れる事にする。
噂でケアンズから、さらに南に下った所にあるバイロンベイと言う街の話を耳にしたからだ。
バイロンベイは海に飛出だ大陸の先にある大都会と田舎のちょうど間のような雰囲気の町で両サイドは海にはさまれており、アーティストが集まる町らしい。
直感的に僕が行くべき場所だと思った。
ケアンズでも絵を描いて様々な人と出会えたのでタイミングを見てバイロンベイへ行く事にした。
この後バイロンベイで絵の稼ぎ方を学ぶ事となる。