僕は普通ではない壁絵を描いている。
壁絵と聞けば壁画のように外壁に描かれた落書き、カフェやバーの壁に描かれたアート作品を思い浮かべるだろう。
しかし僕が描く壁絵は少し違う・・・
B1(728×1030)サイズの大きなキャンパスに壁そのものから描きあげていき、その壁から飛び出すような木のアートを描いている。
この世にはない壁を僕の頭の中から作りだし、そこから僕の世界に存在する木を使ったアートを造りだすのだ。
なぜこのような作品をつくろうと思ったのか?
僕はこのアート作品を描く前はずっと僕の頭の中にある世界だけを描いていた。
僕がこの能力に目覚めたのは物心ついた小学校の頃・・・
深い眠りにつくといつの間にか見たこともない世界を飛び回っていた。
そこは今まで感じたことのない静寂な雰囲気の森や湖、砂漠や大きな大木がそびえたつ不思議な世界。
僕は普通の夢を見るとあまり記憶に残らないのだが、この世界の夢だけは目覚めたあとでもリアルな感覚が鮮明に残っていた。
この世界を絵で表現しようと思い、22歳の時から専門学校に通うようになった。
そして25歳の時に絵の修行をしに海外へ旅にでた。
その時にもっと他のアート作品を描きたいと思うようになり、絵のスキルが上がった時にそれを実行にうつしたのだった。
その絵が僕の世界にある大木を使って描きあげた、世界で初めての僕にしか生み出せないアート作品だった。
この現実世界のものに置き換えて言えば木や花を使った生花と言うと分かりやすいだろうか?
しかし僕の頭の中の世界にしか生えていない木や花を現実世界に持ってくる事は不可能・・・
なので僕がこれを絵で表現しようと思ったのだ。
この後も様々な壁から展開される木を使ったアート作品を描きあげていき、今では世界を描くよりアート作品を描く事の方が多くなっていった。
現在はこれらの原画作品は限られた人に売るようにしているが、ありがたい事に僕の絵を部屋に飾りたいと言う人が増えていった。
「新築の新しい家に飾りたい」
「お洒落な部屋をつくりたい」
「純粋にこの絵がほしい」
など様々な依頼を頂いたが、それでも絵を売る事はしなかった。
なぜなら絵を売り続けてしまうと個展で展示する絵が減ってしまう事もあるが、なにより絵は僕の生きがいであり、その生きがいを形にした作品をそう簡単には売る事ができないでいたのだ。
しかし、自分の絵を欲しがってくれている人を断り続けていくことに申し訳ないという気持ちがないわけではない。
そんな思いを持ちながらヨーロッパを旅していた時に、絵で生計を立てているイギリス人のバスと言う人物に出会い
ジークレーと言う世界最先端の複製技術がある事を教えてもらった。
ジークレーはヨーロッパの画家の間で急激に広がった技術で、原画と同じような高品質な作品を複製する事ができ、アーティストや画家の間では革命的な発明と言われているようだ。
全く同じクオリティーの絵を複製できるうえ、原画よりもかなり安くで提供できる魔法のような最先端技術。
しかし複製とは言え、絵をもらってくれるのなら僕の絵を愛し、子供のように大切にしてくれる信頼できる人に手渡したいと思っている。
これから発信していくメールマガジンZiNARTで新しい作品やジークレー作品の情報を公開していこうと思う。