バロセロナには世界的に有名な建築家ガウディの作品、未完成の贖罪教会がありユネスコ世界遺産にも登録されている。
昨日からの長旅でまだ疲れがとれていないのか体が重くて動くのが辛かったが、せっかくここまで来てガウディの作品を見ないのはもったいない。
そう考えた僕は準備を整えサグラダファミリアへ向かうことにした。
写真で見るよりもはるかに高く感じられ、細部までこだわったデザインに僕は圧倒された。
このデザインと僕の頭の中にある世界の建物はどこか似ている気がする。
僕は小学校低学年から不思議な能力があり、深い眠りにつく時に見た事もない世界を飛び回る夢を見ていた。
僕の夢は視界全体的はハッキリ見えるが、細い細部までの記憶は起きた時にはすでの忘れてしまっている。
なので世界中を旅した中で見る絶景や建物をみると頭の中の世界の記憶がふいに蘇り、さらにクリアに見えた時に絵で表現するのに非常に役に立つのである。
サグラダファミリアの裏には公園があり、そこでは大道芸人やシャボン玉で遊んでいるおじさんがいた。
そのおじさんは器用に大きなシャボン玉を作り出し、子供たちに向かって飛ばしていた。
大騒ぎする子供達。
しかし・・・
この子供だけは騒ぐ事なくシャボン玉が膨らんでから割れるまでをジッと観察していた。
おじさんがどんなに頑張っても大きなシャボン玉を作っても、この子だけは動じる様子もなく一切笑う事もなくジッと見ているだけだった。
だんだんシャボン玉おじさんが可哀想に見えてきたのだった。
そんな光景を見ながら座って休憩していたが体の疲れは一向にとれず、この後サグラダファミリアの中に入る予定だったが少しづつ体の調子が悪くなってきてしまったので宿に戻る事にした。
後にも先にも体調が悪くなったのはこの時だけだった。