スリ集団がいる!?そんな空港で野宿したバルセロナ最後の夜

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スペインの旅もようやく終わりを迎えようとしていた。

 

次は朝5時にイタリアへ飛ぶ予定なので今夜は空港に泊まる事に。

 

スペインは最もスリが多い国だと友人から聞かされていたが

僕はその頃まで「大丈夫だろ」と根拠のない自信に満ちあふれていた。

 

 

 

 

しかしこの後・・・

 

 

 

 

 

その考えを大きく変化させる出来事が起こる。

 

 

 

 

 

日が沈む前に空港に到着してバーガーキングでテリヤキバーガーを買い、コンビニエンスストアでビールを買って空港のベンチに座りながらパソコンで映画を見ていた。

 

 

荷物が多すぎて移動するのが疲れたので

ベンチに荷物をくくりつけてトイレに行く事に。

 

ちなみにこれが今日の寝床。

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荷物はこの旅で必要なキャンパスと紙と筆と絵具、そしてバックパックの中には一眼レフやiPadなどの貴重品も入れていた。

 

 

 

 

トイレから戻ってくると荷物がある。

 

 

 

 

僕はこの頃気付いていなかったが、この行為は命取りになるので今では絶対にやらない。

 

 

 

しかし能天気な僕はそのままベンチに座り再びビールを飲みながら映画を見ていた。

 

 

 

 

それから日も沈み、夜の10時になった時に向こうの方から僕に向かって歩く人影が視界の片隅にうつった。

 

何だ?と顔を上げるとそこには

メガネをかけた男が悲しそうな表情をしながら僕の方をずっと見つめている。

 

 

 

 

僕が「何?」と言うと男はこう言った。

 

「イングリッシュ?」

 

 

 

 

その問いにイエスと言うと、その男は額に手を当てて「オーマイッゴ」と言わんばかりに困った表情を見せてきた。

 

 

 

 

突然話しかけられて「オーマイッゴ」のような顔をされて勝手に落ち込まれている・・・

 

この状況の方がオーマイッゴである。

 

 

 

 

 

そんな事を思っていると彼は続けて僕に話かけてきた。

 

 

 

 

「プリースプリースヘルプミー」

 

どうやら彼は英語を話せないようだった。

 

 

何とか片言の英語を理解してみると、先ほどレストランで食事をしている間にスリにカバンごと財布をとられてしまい、電車で家に変える事も電話をする事もできないと言う。

 

 

 

 

なので僕にお金を貸して欲しいと言う事だった。

 

 

 

 

どうやら僕の服や荷物を見て、お金を持ってそうだから頼みにきたようで嘘をついてるようには見えなかった。

 

 

 

僕の旅は、その瞬間に行きたいと思った場所に行くスタイルなので、念のためにお金の節約もしていた。

 

いつ飛行機代などで数十万円使わなければならない日がくるかもしれない。

 

 

 

今ではどこの国にいてもお金を稼ぐ方法を知っているのでこんな心配はしない

この頃はまだ、決まった国でしかお金を稼ぐ術を知らなかった事もあり無駄な出費はなるべく避けていた。

 

なので全額は払えない。

 

 

 

 

その理由を何度も説明した・・・

 

 

 

 

 

しかし、英語を理解してもらえないので

「アイム ノ ホーム!ゴー!プリースプリース!」としか返答は帰ってこなかった。

 

 

「僕、家はない!行こー!頼む頼む!」

 

と言っているが実際は

 

「家に帰れない!お願いします!」

 

と言いたいのだなと感じとれた。

 

 

 

 

 

明日の昼飯代にとっておいたお金を渡して、後は他の人に頼んでくださいとお願いした。

 

 

 

 

 

しかし男はまだ引き下がらずに

「ノーマネーノーホーム!ゴー!ワンユーロ!」と必死に僕に訴えかけている。

 

 

 

「お金なし家なし!行こう!100エーン!」と言っているが恐らく

 

「お金がないから家に帰れないあと100エーン!」と言っている事がわかる。

 

 

 

 

 

こんな時にスペイン後が話せたら説明が楽になるのに・・・

 

そんな事を考えた僕はこの後の旅でスペイン語学校に通う事になるがそれはまだ先の話。

 

 

 

 

その男とのやりとりが1時間程度続いたので、いい加減僕の思いが通じたのか、お金ありがとうと言って去っていった。

 

 

家に帰れなくて必死だったのだろう。

 

しかし、まだ絵でちゃんとした稼ぎ方をしらないこの時の僕にはどうしてあげる事もできなかった。

 

 

 

 

少し気分は落ち込んだが、イヤホンをつけ再びパソコンに入っている映画を観始めた。

 

 

 

 

 

それからわずか5分後・・・

 

 

 

 

赤い奇麗な服を着て手首には高そうな金の時計をつけた、いかにもマダムのような人が話かけてきた。

 

 

 

「イングリッシュ?フレンチ?スパニッシュ?」

 

 

僕に3択をせまってきたので迷わずイングリッシュと答えた。

 

 

すると彼女が英語で話しだした。

 

 

 

「ベンチに座っていたらカバンごと財布も盗まれた」

 

 

僕はおもわず「また!?」と言ってしまったが、彼女からすると始めて僕に話かけたのに「また」と言う言葉が帰ってきた事に驚いていた。

 

 

さっきの男もカバンを盗まれてお金をあげたと説明すると、悲しそうな顔をしながらお礼を言ってその場を立ち去っていった。

 

 

 

 

スペインの空港は本当にスリが多いようだ。

 

 

 

 

しかし、すでに夜の11時。

 

 

この時間から大荷物を持って宿を探し歩く方が危険である。

 

 

なのでそのままベンチでカバンを枕にして眠りにつくのであった。

 

 

朝日と共に目が覚めた僕はすぐに荷物を確認したが何も盗まれた形跡はない。

 

 

僕はスリ集団から大切な物を守る事ができたのだ。

 

 

 

 

しかし・・・

 

 

 

僕の人生はいつも上手くいった後に大きな問題が立ちはだかる傾向にある。

 

 

この後、思いもよらない理不尽な出来事がおこり僕は怒り心頭するのであった。

 

その話は次回のヨーロッパの旅の記事で書いていこう。