ポルトガルで電車の待ち時間を利用して絵の構図を考える

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朝の7時に目が覚め朝食を食べてからスペインへ旅立つ準備をしていた。

 

ポルトガルのカステロ・ブランコからスペインのマドリードへ向かう予定だが、まだ何も調べていないのでどうやって行くのかもわからなかった。

 

 

しかしこれが僕の旅のスタイルなのだ。

 

 

何も調べないで旅をする事によって様々な出会いに遭遇する機会が増える事は、オーストラリアを1年間旅してきた中で学んだ事だ。

 

情報を知らないと人にきく癖がつく。

 

人にきくとそこから友達の輪が広がっていき、僕に興味を持ってくれる人も当然現れる。

 

なぜなら僕は大きなキャンパスや筆、絵の具を持って旅をしているので他人から見ると「こいつはこんな大荷物を持って何をするんだ?」と考えるのだろう。

 

実際、この荷物は何?と何度も聞かれた事があり、絵を描くための道具が入っている!と言うと高い確率でどんな絵を描くのか見せてくれと言われる。

 

そこで気にいってもらい、仲良くなって家に招待されたり絵を売ってくれと言われる事が多かった。

 

しかし、逆に困難な状況におちいる事も少なくない。

 

今回のポルトガルからスペインへ行く途中でもそれは起こった。

 

 

朝の準備が終わる頃、昨日モンサントへ連れていってくれたピーターが迎えに来てくれた。

 

仕事の合間をぬってお別れの挨拶にわざわざきてくれたのだ。

 

カステロ・ブランコで出会った見ず知らずの僕に、かなり親身になって親切にしてくれた彼ともここでお別れ。

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ポルトガル語が話せない僕のためにバス停まで車で送ってくれて、さらにバスチケットを購入してスペインへの行き方も聞いてくれた。

 

最後の最後まで本当に親切な彼ともお別れをして、次はポルトガルのグアルダという国境付近の町で電車に乗るとスペインのマドリードまで一本で行けるようだ。

 

と言う事でバスでグアルダへ向かった。

 

グアルダに到着したのが午前11時。

 

坂道が多く、大量の荷物を持って移動するのはかなり辛かったが、通りすがる人に片言のポルトガル語で駅の場所を聞くと、ここから歩いてすぐの距離だと言う。

 

それから30分歩いても中々たどり着かない。

 

また別の人に聞くと、すぐそこにあると言って同じ方向を指差した。

 

それかさらに30分歩いてようやく到着する事ができた。

 

ポルトガルの人のすぐそこは日本人の僕にとってかなりの距離があるように感じた。

 

駅についてチケットを購入しに行くと、もう今日の電車はないと言われ一番早く出発する電車はいつくるのか訊ねると夜中の1時半だと言う。

 

現在昼の12時・・・・

 

色々考えた結果13時間駅で待つ事にした。

 

大量の荷物があるので、この町の観光もできないし、なにより田舎町なのでそんなに観光できる場所もない。

 

僕は仕方なくビール片手にPCの中に入っている映画を観ながら13時間待つ事にした。

 

しかしそれから30分後にPCの電池がなくなってしまい、映画を見る事もできない。

 

ボーッとしていても仕方がないのでこの時間を利用して、これから描く絵の下書きを描く事にした。

 

僕はこれまで自分の頭の中の世界を描いていたが、オーストラリアを旅していた時に違う作風も描いてみたいと思い、この世界をまわる旅ではアート作品を描きためる事にしている。

 

ちょうどいい紙がなかったので電車チケットの裏に下書きを描く事にした。

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これはポルトガルのとある美術館で見たアンモナイトをモデルに描いた下書き作品だ。

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とりあえず下書きを描いて頭の中で鮮明にしてから大きなキャンパスに絵の具で絵を描いていくようにするが、その作品は後ほど公開する。

 

なんだかんだで要約13時間経過して電車が到着する時間になった。

 

しかし・・・

 

到着時間になっても電車がこない。

 

駅には僕しかいない。

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本当にくるのか不安になっていた時、遠くの方で電車のヘッドライトが見えてきた。

 

到着時間より40分も遅れて電車が駅に止まった。

 

日本ではありえない事だが、海外では普通にこのような事が起こる。

 

日本の公共機関は時間を徹底して守る世界でも数少ない国なのだ。

 

大量の荷物を電車にのせ座席に座り、少し遅い晩ご飯を食べ、ポルトガル最後の風景を眺めながらマドリードに向かった。