「鳥の声がする。」
昨日は気持ちよく眠れた。
眠れたと言うより眠ってしまった。
朝日の温もりを感じ、鳥のさえずりを聴きながら目を開けると僕は芝生の上で寝転がっている事に気が付いた。
昨日は宿をとっていたが、海の前の芝生の上で考え事をしていたら夜の風が心地よすぎて眠ってしまっていたのだ。
宿はあるのに野宿をするミス。
しかし外国での初野宿を経験できた事に僕は喜びを感じていた。
これはこれで僕のおもしろい出来事の一つの思い出になるからだ。
すぐに宿に戻り荷物を持って「アーティストが生まれる宿」に向かう事に。
バイロンベイにある古い線路を超えて、森の方へと進んでいくと見えてきた。
これがアーティストが集まると言われる
『アーツ・ファクトリー・ロッジ』
いきなり廃材で作られたアートがお出迎えしてくれた。
まわりは森で囲まれていて、横にはレストランやBAR、コンサートステージのような場所もある。
中にはプールもあるので海に行くのが面倒なら、ここで泳ぎながらのんびりするのもよい。
ここには約2000円から6000円代で滞在でき、テントを持っていればさらに格安で泊まる事ができる。
テントこの中でいらなくなった人が売りにだしているのでそこで簡単に買う事もできる、新しいテントが欲しければ近くのホームセンターで買う事も可能。
最初はテント生活ができる事を知らなかったのでテントを手に入れるまではドミトリー(4人部屋)の部屋に一週間ほど滞在する事にした。
アーツファクトリーの中はまさに自然とコテージが一体になったようなつくりで野生のアヒルや野生のトカゲなどの動物も住んでいる。
宿の受付のお姉さんが部屋の前まで案内してくれて中にはいると外国人の若者2人がベットの上に座っていた。
ドミトリーに泊まる時に苦手だったのが外国人とのファーストコンタクト。
まだまだ英語が話せなかった僕は若い外国人と話すのを疲れていた時期であった。
ケアンズで出会った若者パワーにうんざりしてから少しづつ外国人の若者と一緒にいないようになっていたのだ。
しかし彼らの見た目は怖そうだが、話しをする内にそれほど悪くない人達だと感じた。
むしろ優しかった。
片言の英語で話しているとちゃんと理解しようジェスチャーも交えながら僕の話を聞いてくれた。
彼らはセバスチャンとジェフと言う。
っと言うより僕が覚えやすいあだ名をつけた。
セバスチャンは本名だがジェフはバーチャファイターのジェフリーに似ている事からそのあだ名で呼ぶ事にした。
どこからどう見てもじゃフリーにそっくりだ。
彼らはオーストラリアの南にあるメルボルンから旅行で友達と3人できているらしい。
もう一人は海で昼寝をしているようだった。
セバスチャンとジェフに遊んでくると言い僕はまた海の前の芝生の公園で絵を描き始めた。
パロネラパークから依頼された絵を描きながら音楽を聞いて海の風を当たっているとなぜか集中力が増す事に気がついた。
やはり自然のパワーは僕に集中力と継続力を与えてくれる。
今日も夕日が沈むまで絵を描いていたが昨夜のように話かけてくる人はおらずアーツファクトリーに戻る事に。
今日も一日充実した日々を送る事ができた。
旅に出る数年前からずっと言っていた事。
「絵の修行と画家になる方法を探す」
そのために世界へと飛び出し僕は今一人で行動に移している。
考えるだけではほど遠い夢のような話に聞こえるが実際に行動に移してその状況になってみると以外と誰でもできる事に気付く事がある。
想像をしただけですぐに行動に移さなければ横からネガティブな情報や迷いが割り込んできてしまいせっかくの行動に移すチャンスを邪魔されてしまう。
まずはいいアイデアが浮かべばすぐに行動する事でこの先の未来への道が切り開かれる。
それはこの世の全ての成功者が歩んできた道なのだ。
そんな事を考えながら夜の道を歩きアーツファクトリーに到着した。
自分の部屋に戻ってみるとセバスチャンとジェフがいない。
どうやらどこかに飲みに行っているようだ。
僕はとりあえずお腹が空いたので町の中心にあるスーパーマーケットで買った食材をキッチンで調理して食べる事にした。
キッチンは2階にあり、調理した料理をキッチンの横のテラスのような場所で食べる事ができる。
プールで気持ち良さそうに泳いでいる外国人、その向こうにはコテージがあり、さらにその奥にはキャンプ場と合体した森が見える。
空には満月が浮かんでいる。
そんな空間でビールを飲みながらチキンライスを食べていると
「僕は外国に一人で来た!」
と今さら実感がわいてきた。
友達もいない、知り合いもいない、英語も片言しか話せない。
何をすればいいのかわからなかったが
何をすればいいのかこれから探す事ができる。
その未知なる方法を探す旅が、今回の目的であるためワクワクが止まらなかった。
なぜならこのバイロンベイには
何か画家になる方法が見つかると感じていたからだ。
まだハッキリした明白なアイデアは、この時生まれていなかったが
この数ヶ月後・・・
僕はこの場所でとうとうその方法を発見する事になる。
ビールを飲んで少し酔っぱらっていた僕に睡魔が襲ってきたのでベットで寝る事にした。
それから約1時間後・・・
「おーい飲みにいくぞ!メーン!」
と言う声に起こされ、ぼやけていた視界を目でこすると目の前にベロベロに酔っぱらったセバスチャンが僕を飲みに誘おうとしている。
これはかなりの悪酔いだ。
僕はベットで寝ていたのだ。
「僕は寝る!また明日!」
と言っても悪酔いセバスチャンは
「ヤマサーキー!(僕の名字)」
と僕を飲みにいこうと誘ってくる。
それに気付いたジェフが
「ヤマサーキーは寝たいんだって!」
と気を使ってセバスチャンをまた外のBARに連れ出してくれた。
若者パワーは恐ろしいと思ったがこれも僕の一つの良い思い出になっている。
彼らとは今でも連絡を取り合う仲になっている。
PS.
旅にでていると本当に毎日何か起こるが僕はそのハプニングが楽しくてたまらない。
なので旅はやめられない。
こんな些細な話でもあなたに伝える事ができる。
旅にでていると話のネタはつきない。
それが人生を楽しくする方法でもあるのだ。
絵を描いていきるためにしてきた事はメルマガで公開しているので興味があればどうぞ。