英語も話せないままオーストラリアの旅にでた結果・・・

いよいよオーストラリアの絵の修行の旅が始まる。

 

行き先は「オーストラリアの上の方」とだけ決めていたが、チケットを買う時にケアンズ空港に到着する事だけはわかっていた。

 

 

 

しかし当時の僕はケアンズが町の名前である事すら知らずに出発したのだった。

 

ケアンズ空港には日本語がわかるスタッフがいたのでここから一番大きな町を聞くと、ケアンズだと言われ、その時初めてケアンズが町の名前である事を知る。

 

 

 

 

タクシーに乗り込み、運転手に「ケアンズ」とだけ伝えると何の問題もなくケアンズに到着。

 

 

 

 

ケアンズの町についたのは午前10時過ぎで、ここから自力で宿探しを始めた。

 

少し歩くとラグーンと言われるケアンズでは有名な公園があり、その目の前に「Global BACKPACKERS」と言う宿を発見した。

lagun

backpakers

受付のお姉さんに

 

「ワンデイステイ」

 

とだけ伝えると、当然ながら英語で返答が来た事に冷や汗をかいてしまった。

 

 

 

 

全く何を話しているのかわからない。

 

 

 

 

それもそのはず、中学の時も高校の時も英語だけは大の苦手で、テストの点数はいつも最悪だったのだ。

 

 

 

テストを受ける日もあったが、どうせ点数が悪いので受ける意味がないと考えた僕は学校にはいかず、そのまま近くの大学の広場にあるベンチに寝転がり、パンを食べながら時間が過ぎるのを待つ事もあった。

 

パンを食べているとハトがよってくる。

 

そのハトに餌をやりながら、英語のテストが終わるのを待っていたほど英語が苦手科目だったのだ。

 

 

 

 

 

そんな男がいきなり外人ばかりが泊まる宿に行っても理解できるわけがない。

 

 

 

受付のお姉さんに色々英語で説明されたが本当に一言も聞き取る事ができないでいた。

 

あげくの果てに

 

「ドューユーアンダースターンド?」

 

と聞かれてしまい、この言葉だけは理解できたので僕はすぐに

 

「ノー!」

 

と答えると受付のお姉さんの高い鼻の穴から

 

「フー・・・」

 

と大量のため息が漏れだした。

 

 

 

どうする事もできない・・・

 

 

 

困っていると、たまたま日本人女性が通りかかったので通訳を頼んでやっと理解できた。

 

チェックインは12時からなので、その時間にまた来てくださいとのこと。

 

 

 

 

日本人女性にお礼を言ってようやく宿に泊まる事ができた。

 

 

 

ノープランで来たのは旅に刺激が欲しかったからなのだが、こんなに刺激的な旅の始まりが来ようとは・・・

 

 

 

しかし刺激は人間を成長させる要因の一つと考えている僕は、その日から絵の修行の他に英語の勉強をする事を決意した。

 

 

旅は始まったばかり。

 

 

少ない額ではあるが、貯金もあるのでとりあえずはこのケアンズにしばらく滞在して英語の勉強をしながらどうにかして絵の仕事を手にいれようと考えていた。

 

 

 

 

後に、この頃の自分では想像もつかない程の知識や絵の技術、そして英語でのコミュニケーション能力を得る事となる。