オーストラリアのケアンズは日本とは真逆で、12月は真夏でいつも快晴で気持ちいい日が続いている。
絵の修行をしにオーストラリアを選んで本当によかった。
この日も朝からラグーンという公園で絵を描いていると様々な国の人が話かけてきた。
英語はまだこの頃は話せなかったが、何となくニュアンスで理解できるようにはなっていた。
少し休憩をとろうと飲み物を買いに行った時、ある外国人のおじさんが話かけてきた。
「この漢字なんて読むんですか?」
見た目は完全に外国人だったが日本語を話している。
彼は誰かからもらった手紙を持っており、数カ所だけ日本語の漢字が読めないので僕に聞いてきたようだった。
なぜ日本語を勉強しているのか聞いてみると単純に日本が好きだからと彼は言った。
礼儀正しく僕にお礼を言い、美味しそうな張りのあるチェリーをくれた。
そして親切にしてくれたお礼にランチに連れていってくれると言う。
彼とは初対面だったが、ケアンズで出会う人は皆優しくて暖かみのある人ばかりだったのでランチに行く事にした。
僕は彼をチェリーマンと呼んでいる。
その後、絵を描き終えた僕の所に車で迎えに来てくれて、ケアンズののどかな景色が見える広い高台の公園まで連れて行ってくれてランチの準備もしてくれていた。
パンにトマトとチーズを挟み、見た事もないオーストラリアのオーガニックの調味料を塗って食べながらコーヒーを飲んで話をしていた。
「日本語は難しくない?」
と訪ねると、かなり難しいけど日本人に聞けば絶対に親切に教えてくれるから、すぐ覚える事ができたと言っていた。
そんな日本人の優しさとオーストラリアで出会った人々との優しさは何だか似ている気がする。
彼は日本度を覚えるために旅行者に声をかけ、会話をする機会を自分で増やす方法をとっていた。
語学の勉強は紙にペンで書くよりその国の人と
会話を楽しむ事が一番の近道だと言っていたが、まさにその通りだ。
僕もこのオーストラリアの旅が終わった後に世界を旅しているが英語で話す事によって、自分の知らない単語も自然と頭の中に入ってくるようになっている。
単語を知らないのに理解ができるとは、かなり不思議な事だが、これは英語を話せるようになった人は皆言うあるあるネタなのだ。
そんな彼とランチを楽しんだ後に、これからも連絡をとりたいから日本に帰った時に手紙を送るよと言ってくれた。
1年後日本に変えると綺麗な日本語と英語で描かれた手紙を彼は本当に送ってきてくれた。
この出会いは僕のいい思い出となっている。
語学を勉強する時は、書くより積極的に外国人と話す機会を自分でつくる事で上達スピードにも違いが現れる事を身を持って経験した。