旅の移動費を安くで済まそうと考えるならバス移動を使わない手はない。
しかし気をつけなければ
異国の地に一人で置いてけぼりにされる危険性もある。
今回は僕が体験した
ケアンズからメルボルンまで乗り降り放題のバスを利用した最悪な事件の話。
僕は絵の修行をして、さらにそのスキルを磨くため、オーストラリアに来て毎日公園で絵を描いていた。
それ以前は韓国くらいしか行った事がなく、英語なんて一言も話せるわけもなかった。
英語も話せない、誰か頼れる友人もいない。
しかしケアンズに来て多くの人と出会い、多くの人の優しさにふれる事で何とか海外の生活にも慣れてき始めた頃だった。
ケアンズに1ヶ月以上滞在し、多くの友人もできたが、いつまでもこの街にいては刺激がもらえない。
刺激は画家にとって必要なものの一つなのだ。
そんな理由でそろそろケアンズを出る事にした・・・
しかし・・・・
その時のバス移動で最悪の事態が起こってしまった。
今日はその時の心境とバス移動の時に、してはいけない事を僕の経験談から話しておく。
もしもバスで旅をするなら最後までこの記事を読んでおいた方が良い。
ケアンズからメルボルンまで乗り降り自由なバス
ケアンズにある日本人御用達のNaviツアーで働いている、僕も普段からお世話になっていたヨウコさんに、ケアンズからメルボルンまで乗り降り放題のバスがある事を教えてもらい、バス移動で疲れたらその街で一泊して、次の日にまた南下すれば良いと考え、そのバスを予約する事にした。
そのバスはケアンズからメルボルンまで毎日運行しており、好きな街で降り、また移動したければサイトからバス予約を入れて、後はバスに乗る時にサイトからコピーした予約の紙、あるいはスマートフォンに写真を保存して、それをバスの運転手に見せるだけで好きな場所まで乗る事ができるシステム。
料金は最初の値段から変わらない。
僕はひとまずケアンズからゴールドコーストへ向かう事にした。
バス移動で起きた事件
冒頭でも話した通り、
この頃は英語には慣れてきた所ではあったが
まだ自分の意思を伝えると言う事ができないでいた。
そんな状況で最悪の事態は起きてしまったのだった。
バスが消えた・・・
ケアンズを深夜12時にバスに乗り込みゴールドコーストへと向かった。
朝から新しい旅への出発の準備に追われていた僕は、疲れていたのかそのまますぐに深い眠りについてしまった。
それから12時間後・・・
目が覚めるとバスが止まっている。
カーテンを開けて窓から外を覗き込むと、運転手がバスの下の荷物いれから全員の荷物を運び出していた。
バスに乗っていた乗客も自分のバックパックを持って街へと歩きだす。
バスの中には一人も乗客は乗っておらず「もうゴールドコーストについたのか?」と思ったのでバスから降り、荷物を受け取った。
しかし街を見てもとてもゴールドコーストとは思えないほどの田舎街だった。
ここで降りてはダメだったと思ったが、バスの運転手にもゴールドコーストで降りると記載された紙を渡していたので、ひとまずトイレに行く事にした。
「予約はしているので大丈夫」
日本ではバスを予約すると休憩所に止まる度に毎回人数をチェックする。
その考えがあまかった。
ここは日本ではない。
とくにオーストラリアはそういった事にいい加減な会社が多数存在する。
トイレを済ませた僕はまたバスの方へ歩き出した。
すると・・・
バスが動き出している。
まだバスが止まって10分程度しかたっていなかったので
「バスを駐車しやすい場所に移しているのかな?」
と思いながらそのバスに向かって歩いていった。
しかしバスは「忘れ物なんてない!」と言わんばかりに地平線の彼方へと走り去ってしまったのだ。
バスは僕を乗せるのを忘れて次の目的地へと向かったのだった。
英語も話せない、友人もいない、この田舎町がどこなのかもわからない。
異国の地にポツンと一人置いてけぼりにされてしまった。
幸い荷物を持ってトレイに行ったので画家として生活するための道具は全てそろっていた。
どうやってこの危機を乗り越えたのか?
まずここが何処なのかを知る必要がある。
通りすがりの老夫婦が海沿いを散歩していたので、まだまだスキル不足な僕の英語でここがどこなのか訪ねると、ここはアーリービーチと言う場所で、ゴールドコーストよりさらに手前の街である事が判明した。
タイミング良く用意していた携帯電話
運がよかったのかケアンズを出る前にNaviツアーのヨウコさんに進められて携帯電話もそこで手に入れていた。
画家の道具はあるので、ここでお金を稼いで対策をねる事も考えたが、田舎街なので人がそんなにいない。
僕はすぐに携帯でNaviツアーのヨウコさんに電話する事にした。
ヨウコさんには本当にいつも迷惑をかけていたので申し訳なかったのだが、すぐにそのバス会社に電話するから待っててと言われ電話を切る。
不安な気持ちでいっぱいであったがヨウコさんに電話して少しホッとしていた。
数分後にヨウコさんから電話がかかってきた。
次にその会社のバスが夜の6時にアーリービーチに到着するので
そのバスの運転手に事情を説明して乗せて欲しいと頼むしかないとの事・・・
僕の片言の英語で相手の運転手にこの状況を上手く伝える事ができるのか少し不安でもあったが、出発まで6時間もあるので、それまでこのビーチでのんびりしながら、どう英語で話せば伝わるのかを考える事にした。
危機脱出に成功
アーリービーチの近くには山のふもとに家々が並び、とても奇麗な街であり、天気も良く、僕はスーパーでビールと昼食を買って海沿いの公園のベンチで運転手に説明する英語文をノートにまとめていた。
海は穏やかでヨットがゆらゆらと揺れている。
そよ風にゆられながら音楽を聞いてビールを飲んでサンドイッチを食べていると、気持ちよくなってきてしまい「最悪ヒッチハイクで向かってもいいか」と思うようになっていた。
バスの運転手へ英語で説明
それから数時間が経過し、僕はいつの間にか寝てしまっていた。
あたりはすでにオレンジ色の空になっており、何だか急に悲しい感情が溢れ出てきた。
バスが来る時間がせまってくると思うと少し緊張もしてくる。
英語でこの状況を伝えないとバスに乗れるかどうかもわからないからだ。
夜の6時過ぎにバスは少し遅れてアーリービーチに到着した。
すぐに運転手の所へ駆け寄り
「あなたの会社のバスにおいていかれました。Naviツアーと言う会社からすでに連絡が入っていると思うのですが聞いてますか?」
と訪ねると運転手は僕の顔をジッと見つめながらこう言った。
「知らん」
絶望が僕の脳裏によぎったが、それと共に「もうどうなってもいいか」と言う気持ちも不思議と湧き出てきた。
すると運転手がどこまで乗るの?と聞いてきたので、ゴールドコーストまで行きたいと言うと「OK行こう」と言ってくれたので僕はあっけにとられた。
そしてそれから14時間後、無事にゴールドコースとへ到着したのだった。
ゴールドコースト到着後
ケアンズからゴールドコーストまで32時間以上の度を終え、僕は宿をどこも予約していなかった。
時間は夜の9時。
それから宿を探しに歩き始めたが、どこも満席で空いている宿を見つける事ができず3時間が経過してしまった。
もう今日は野宿でいいかと考え、どこかで寝れるポイントを探していた途中、偶然宿を発見した。
一応中に入ってカウンターの定員に聞いてみると、一泊だけならできると言われたので、すぐにチェックインを済ませシャワーを浴びた。
思いもよらない長旅で体は疲れていたが、新しい土地に来たと言う新鮮な感情が僕を夜の街へと動かした。
ゴールドコーストにあるサーファーズパラダイスのビーチで、のんびりビールを飲みながら暗い海の上に光る満月を見ていた。
ちなみにオーストラリアでは外でビールを飲むと罰金を払わなければならないが、僕はこの時そんな事も知らずに何も気にしないままビールを何本も飲んでいた。
サーファーズパラダイスの砂はやわらかい。
日本ではあまりない砂の感触だ。
異国の地で置いてけぼりにされ、無事にその事件を乗り越えた事もあったので、ホッとした僕は酔っぱらいながらビーチで寝てしまったのであった。