オーストラリアのケアンズでたった4万円でスキューバーライセンスの資格をとれると知り、すぐに申し込みを済ませた。
たった4日間で資格を取得する事ができ、しかも後の2日間はグレートバリアリーフに浮かんだ船の上で一泊する事ができる。
旅行をしながら資格をとれる最高の方法だ。
1日目は筆記試験、2日目は実技試験。
そして僕は3日目の船の上にいる。
始めて潜った海の底には今まで見た事もない世界が広がっていた。
外国人とパートナーになり一緒になって海の美しさを楽しみ、僕と彼は興奮したためか口に加えたレギュレーターからブクブクと大量の空気を吐き出してお互いに海中で笑いあっていた。
実技試験と言う事を忘れるほど自由に泳がせてもらう事もでき、かなり満足して船の上に上がると、そろそろ太陽が沈んでくる時間帯になっている事に気がつき船の中でシャワーを浴びる事に。
今日は船に一泊する事になる。
船の中は思ったより快適で、シャワーを浴びてから船の甲板にあるイスに寝転びながらビールを飲んで星を見ながら考え事をしていた。
2ヶ月前にバイクで違う世界へ行ってしまった弟の事だ。
画家として旅にでる一週間前の話だったので旅を延期する他なかったが、色々あり無事に旅にでれる事になった。
しかし、そのショックからちょうど立ち直ってき始めた頃だったが、やはりまだ2ヶ月では完璧には立ち直っていなかったらしく何故か星空を見ると頭の中に自然と弟との思い出が浮かんできた。
僕が小学生で弟はまだ幼稚園に通っていた頃に起きた血まみれ事件。
家に帰ると弟だけしかおらず、洗面所に顔を埋めて何かをしていた。
気にする事もなくトイレに入ろうとして何気なく洗面所を見ると、そこには大量の血が飛び散っていた。
僕は驚いて弟に何があったか聞いた。
すると彼は振り返り僕にこう言った。
「リンゴの種・・鼻の中に入れて遊んでたらとれへんなった。」
腹がちぎれるほど笑った。
リンゴの種をとろうとして鼻の膜が切れて出血したのだ。
そんな事を思い出して船の上でも一人笑っていた。
本当にバカな弟だった。
そんな事をしていると日本人が甲板に集まってきて皆でこれからの話や今まで何をしてきたかを話していた。
旅に出るとこのような出会いが一日一回はあるので人脈を広げるには最高の方法だ。
人との出会いがあまりないのなら僕は旅にでる事をお勧めしている。