毎日真夏の気候が続くケアンズの街。
年明けまでに完成させようと思っていた依頼作品も間に合わす事ができなかったが、ある程度進んでいるのでよしとしよう。
少し前までは人もまばらで静かな寂しい空気が流れていたが、年越しが近づくにつれ
多くの人が集り急に騒がしくなってきた。
公園には特別ステージが用意され、恐らく有名なミュージシャンがここでカウントダウンライブをやる予定らしい。
公園の近くにはピエロなのかサンタなのかよくわからない人がうろうろしていた。
以前スキューバーライセンスを取得した時に仲良くなった日本人の友人と合流し、一緒に年越しを迎える事になった。
夜になるにつれてさらに大勢の人がカウントダウンライブを座りながら待っていた。
もちろん無料である。
まわりにはいい匂いをさせている屋台もでており、日本で言うお祭りのような雰囲気が漂っていた。
そうこうしている内にカウントダウンライブが始まり、公園は興奮と熱気に包まれている。
よく知らないミュージシャンの音楽を聞きながら、海の前でケアンズで出会った友人達とビールを飲んで年が明けるのを待っていた。
ケアンズに来た時は一人も知り合いがいなかったが、1ヶ月も経てばそれなりに友人もできる。
旅の良い所は出会いが多いと言う所である。
もしも出会いがない、外国人の友人が欲しい、絵関係の繋がりが欲しいと考えているのなら、僕は旅に出る事をお勧めしている。
ケアンズの街はそう言った意味では最高の場所であった。
出会う人は皆いい人しかいなかったし、ありえない程親切にしてくれた。
しかし僕は年が明ければケアンズを出ようと計画している。
同じ場所にいても少しずつ慣れてきてしまい、刺激も少なくなってきたからだ。
新しい街へ行けばまたさらに良い刺激を与えてくれる。
そんな事を思いながら最後のケアンズを楽しんでいた。
もうすぐカウントダウン。
公園にいる観客全員でカウントダウンが始まった。
海外で年明けをするのは始めてだったが、予想以上の盛り上がりを見せている。
年明けの合図とともに花火が上がった。
綺麗な花火を見ながらケアンズから離れると思うと少し寂しくもあったが、次の自分のステップになるなら仕方のない事である。
次はゴールドコーストに向かう事にするが、その近くにバイロンベイと言うアーティストが集まる小さな街がある噂を聞いた。
ゴールドコーストには一泊だけしてアーティストの街で長期滞在しようと考えている。
そのバイロンベイで僕は多くの事を学ぶ事となるが、まだそんな事は知るよしもなかった。