パナマへ到着してすぐ強盗に遭ってしまった。
しかも荷物をすべて持った状態で・・・
旅の途中に日本人の友達がパナマで働いていて会う事になったので急遽パナマへ行く事にした。
日本でよく遊ぶ友達と海外で会うとなると何故かワクワクした。
パナマ空港に無事到着してから、前もって調べておいた宿の場所を確認すると空港から近かったので歩いて行く事にした。
しかし・・・この考えがうかつな行動だったと後で後悔することになる。
実は空港から宿に行くまでにスラム街があったのだ。
その事にまだ気づいていない僕は大きめのバックバックを背負い、体の前には小さいリュックをかけながら、右手には大きいキャンパスと絵の具が入った箱を持っていた。
30分くらい歩いたあたりから町の雰囲気がおかしくなってきた。
ボロボロの家やアパートが並び、黒人がたむろしている。
地図上を確認すると、このスラム街を越えて少し歩くと到着する。
すべての荷物を持ったままその中を歩いていった。
そして大通りに出た時に後ろを振り返ると高校生くらいのスラッっとした背の高い黒人2人と中学生くらいの黒人2人が歩いていた。
立ち止まって後ろを振り返ると、その4人は角を曲がった。
再び歩きだして、また後ろを振り返るとまた4人がいる・・・
完全に狙われている事に気がついたが、荷物を全部持った状態では走って逃げる事は不可能だ。
どうするか考えていたその時。
道の斜め前方に車の修理屋さんが見えた。
休憩中なのか男5人くらいがイスに座っている。。
ここに一旦非難しよう!
そう思った瞬間・・・後ろにいた男が全速力で走ってくる音が聞こえ、振り返る間もなく背中に背負っていたバックバックを引っぱり倒してきた。
バックが重すぎて亀のような状態で倒れこんだ僕。
すかさず残りの3人が体の前にかけていた小さいリュックを必死に引っ張り奪おうとしてきた。
しかし、なかなかリュックを盗る事はできない。
それもそのはず、この時僕はまず小さいリュックを前にかけてからバックパックを背負っていた。
なので小さいリュックを奪いたければ、まず最初にバックパックを肩から外さないと前にかけた小さいリュックを盗る事はできないのだ。
そんな事はお構いなしに亀状態の僕からリュックを3人がかりで引っ張ってくる。
中には一眼レフカメラ、PC、iPhone、iPad、これまで撮ってきた世界中の写真が入ったハードディスク、が入っていた。
写真がなくなってしまえば、これから計画している事も出来なくなってしまう。
絶対に渡さないと叫びながらリュックを必死に抱き抱えている最中、車の修理屋さんの5人組を思い出した・・・「助けて」という意味も込めて車の修理屋さんの方をチラっと確認すると・・・
そこには男5人がイスに座り、コーヒーを飲みながら襲われてる僕をのんびり観察していた。
正直腹が立った。
5メートル手前で人が襲われているのに何もしない人達。
もし僕がこの立場なら警察呼ぶなり、なんなりするが何もしないで観察しているだけのその態度に強盗よりこの5人に腹が立ってきた。
強盗してきた4人組も、まだ僕からリュックを奪えない事にも段々腹が立ってきたその時、リュックを奪おうと必死の左側にいた背の高い黒人が僕の顔面を殴ってきた。
しかしその時、僕は尋常じゃないくらい汗をかいていたので、そのパンチは僕の頬を滑るように流れていった。
なのでパンチは全く痛くなかった。
しかし・・・
そのパンチが僕の怒りを爆発させる原因となった。
小さいリュックの前のポケットに入れておいたナイフを取り出し日本語で罵声を浴びせると、初めて奪おうとする手が止まり、僕のナイフ確認したとたん彼らは逃げだした。
普通強盗するならナイフやピストルは持っていそうだが、彼らは何も持ってはいなかったようだ。
幸いな事に荷物はすべて無事だった。
これから僕の人生に大きく関わる写真や絵も守れたのでホッとした。
後から聞いた話だが、こんな事はよくある事で警察に言ってもほとんど動いてくれないらしい。
パナマ初日は刺激的な一日で終わった。
しかし今では、こんな事件ですら、こうしてあなたに話せるのだから経験してよかったと僕は思っている。
PS.
僕の計画していたと言うのはこの世界画家旅人を立ち上げると言う事だ。
無事に写真も動画も全て守れたので今こうして伝える事ができているのだが、もしも全て奪われていたらと想像するとゾッとする。
しかし、いつも神様は僕の味方をしてくれる。