
太陽の光がカーテンの隙間から、まぶたを照らし目が覚めた。
一緒の部屋で寝泊りしているチェナーが「おはよう!コーヒー飲む?」っと言ってキッチンでお湯を沸かしている。
チェナーはいとこのジェイクとアメリカからアムステルダムに旅行にきていた。
「ジェイクは?」っとたずねると部屋の外で椅子に座りながらラジオを聞いて朝食を食べていると言う。
コーヒーを片手に部屋の外に出ると雲一つない青空が飛び込んできた。
おはよう!っとジェイクに挨拶を交わし、今日は何をするの?っと他愛もない会話が始まる。
これが僕の毎日の朝の習慣となっている。
好きな時間に起き、仕事に追われる事もなく朝の時間をのんびり過ごす。
昼はアムステルダムの街で買い物や観光をして新しい刺激を頭の中に叩き込み、そこで得たインスピレーションを利用して絵を描く。
最近、のんびり遊びすぎて絵は描いていたが、お金を稼ぐ事をしていなかった。
そろそろお金を稼がないと・・・
この頃の僕のお金を稼ぐ手段はバスキングと言われる路上でパフォーマンスをする事がメインとなっていた。
ちなみに僕は旅をしながらライブペイントをしてお金を稼いできた。
以前、
オーストラリアでもバスキングでお金を稼いで貯金もできた経験もあるので
物価が高いアムステルダムに長期滞在していても全くお金の心配はしていない。
なぜなら街では数多くの路上パフォーマーがバスキングをしてお金を稼いだからである。
その中のほとんどが音楽で勝負をしていたが、僕の場ライブペイントをしている。
絵を描くパフォーマンスはあまりやっている人がいないので、数多くのお客さんが立ち止まってくれるはずだ。
とりあえず中心街に行って下見をする事にした。
沢山のパフォーマーの中でこの人達が一番うまかったし、お金を渡す人が一番多かったように思う。
外国では何か一つ特技を持っていれば生きる事は可能である。
とりあえずここでキャンパスを広げてライブペイントをしようと考えた。
が・・・
カバンの中を開けると絵具道具を持ってくるのを忘れた事に気がついた。
今からとりに戻るのは面倒だったので以前から鉛筆で描いていた絵の下書きを路上に並べ、スケッチブックに鉛筆で僕の世界を描いてライブペイントをし始めた。
ここで絵の路上パフォーマンスの強みがでてくるのだが、絵を描いている最中に立ち止まってくれたお客さんと会話をする事ができる。
このお客さんとの会話で
自分が何をやっているのか?
なぜ旅をしているのか?
絵の世界観は?
これからどんな活動をしていくのか?
このような事を相手に伝えるようにすると大抵の人は頑張ってね!と絵を買っていってくれる。
例えそれが絵の下書きであってもだ。
この日は3時間絵を描いて3000円稼ぐ事となったが、絵の下書きだけでこれだけ稼げれば上等である。
これにポストカードや、アクリル画などを並べればもう少し売り上げがのびるだろう。
しかし時給1000円程度の収入が入ると確認できた事に満足した僕は、この日はこれ以上稼ごうとは思わなかった。
日本では働かないとお金を稼ぐ事ができないという思い込みが強い。
実は常識なんてものは誰もやっていない事に挑戦すれば覆す事なんて簡単なのだ。
常識を破壊する事ができれば誰でも画家になる事が可能である。
その後ライブペイントで稼いだお金でお昼にコーヒーショップでランチを楽しむ事に。
実はここオランダのコーヒーショップでは日本では考えられないものを購入する事ができる。
僕も最初は驚いたが、これが旅の醍醐味である。
日本とはまるで違う文化をかいま見たそれとは・・・
マリファナである。
街中ではいたる所にマリファナショップがあり、ジュースやクッキーなどが販売されている。
実はオランダはマリファナが合法であり、よくお昼休みにサラリーマンが公園でプカプカ吸いながらのんびりしている光景を見る事があった。
日本人に「マリファナのどこがいけないの?」
っと訪ねると多くの人は幻覚を見るだとか身体に悪影響があるだとか言うのだが、それは覚せい剤などの人工的につくられたものであり、マリファナではそのような減少は見られない。
それにオバマ大統領もマリファナよりアルコールの方が危険度が高いと公言していた。
中毒性は確実にタバコの方が高い。
しかし、アルコールもそうであるが、マリファナは記憶力が低下する事も事実である。
そしてオランダ人の友人にこの事について訪ねてみると「なぜタバコやアルコールが良くてマリファナがダメなのか意味がわからない」っと話してくれた。
そもそもなぜオランダではマリファナを合法化しているのかと言うと、覚せい剤やLSDなどの使用を押さえるためであり、実際にその犯罪率は減っているようだ。
このような事を聞くと何が悪で何が正義なのかわからなくなってくる。
それぞれの国によって考え方が違い、人の捉え方によって良い事悪い事がまったく違ってくる。
これは洗脳の一種なのではないかと僕は思う。
その国のトップがこれは良い事と決めればそれは良い事になり、それは悪い事となれば国民もその思想を小さな頃からの教育で定着させられてしまい、悪い事だと思い込んでしまう。
まさに洗脳である。
正義なのか悪なのかは自分の目で見て確かめなければ真実は見えてこない場合もあり、今考えている常識も実は世界的に見れば非常識になるのかもしれないのだ。
っとは言え・・・
タバコもアルコールもマリファナももちろん覚せい剤も使用しない方が身体に良いのは確実である。
なので良い子は何もしないように。
コーヒーショップを出て街を探検する事にした。
街の至る所にアートがあったりおもしろい事に遭遇したりと、毎日探検しても飽きがこない。
サンタさんがスカートをはいた男の人を見ている。
男がスカートをはくなんて・・・
っと思うかもしれないが、民族衣装なのか何なのかわからないが、スカートをはいた男性を何度も目撃した。
小さな頃から女性はスカート、男性はズボンをはくと教育された日本社会では考えられない事である。
しかしオランダではそれを変に思う人は、ほとんどいないようだ。
これも「男性がスカートをはくと気持ち悪い!」っという洗脳の一種なのかもしれない。
一時期オシャレでスカートをはく男子も現れたが、一瞬でいなくなってしまった。
やはりスカート男子が気持ち悪いという日本人の価値観はいつまでも変わらないようだ。笑
PS.
なぜかオランダの写真がごっそり削除されてしまっていた。
ライブペイントをした写真が全て消えてしまって非常に残念だ。