ダラダラした人達で溢れ帰る街!ザルツブルクへ向う旅!

数人の静かな寝息が微かに聞こえる暗闇の中、彼らを起こさないようにロッカーから自分の荷物を取り出し、次の旅への支度を始めていた。

 

昨日はハンガリーの駅構内で知り合ったイタリア人女性のキアラと一緒にオーストリアの首都であるウィーンまで電車で一緒に旅をしていた。

僕の目的地はザルツブルクというオーストリアとドイツの国境付近にある街。

 

キアラはウィーンに彼氏がいるという事なので駅でお別れをして、僕はそのままウィーンにある一部屋を6人でシェアできる安宿に一泊して、早朝6時にザルツブルクへと向かう事にしたのだ。

 

大きなバックパックを背負い、絵具道具と巨大な水彩紙のロールを乗せたキャリーを引きながら宿のチェックアウトを済ませ駅に向かった。

真っ暗で人気のなかった街並みは朝日の光と共に少しずつ賑わいを見せ始め、駅に到着する頃にはスーツを着たサラリーマンやバックパックを背負った旅人達で溢れかえっていた。

 

 

昨日の夜、ウィーンから次の目的地であるザルツブルクまで向かう電車を調べているとWESTbahnという格安の電車予約サイトを発見した。

しかし、そのサイトは全てドイツ語で記載されており英語の翻訳がなかったので何と書いているのか理解できなかったため、全て入力項目を感に頼って予約した。

 

 

本当に予約で出来ているのか心配だったが、その会社の受付にいくと無事に電車のチケットを手に入れる事ができた。

 

海外の旅をする前に言葉の壁や宿の心配をして、結局旅に出ないという人も数多くいる。

 

しかし、実際は旅にでてしまえば何とかなるものなのである。

 

それでも、まだ旅が怖いという人は、こちらの記事を読んでおいて欲しい。

旅は怖くない!海外で絵を描く旅をして得した事とは?

 

チケットを手に入れてから1時間後に電車が到着し、出発時間までかなり時間があったので駅の売店で食料とビールを購入してから電車に乗り込んだ。

 

人でごった返す駅構内とはうらはらに車内にはあまり人が乗っていない。

 

荷物を車内の荷物置き場に置いて盗まれないように鍵で固定し、チケットに書かれた自分の席に向かった。

 

僕の席の隣にはまだ朝の8時にも関わらず、すでに缶ビール3本をあけて顔が真っ赤になっている少し太った中年男性が座っていた。

 

彼の隣に座り、僕もさっき売店で購入した缶ビールを袋から取り出すと中年男性は親指を立てて「good」と言った。

 

どうやら陽気で人当たりの良さそうな男性のようだ。

 

「何かビールのアテない?」

 

突然彼が英語で話しかけてきた。

 

僕もビールのあてに食べるものが欲しかったので昼食用に買っておいた食料で、どこでもできる簡単な格安旅人料理をふるまう事にした。

 

カバンからアーミーナイフを取り出すと彼は興味津々でナイフを見ている。

その間に食材であるパン、シーチキン、ハム、野菜詰め合わせ、トマトを座席の前に設置されているテーブルの上においた。

 

彼からナイフを返してもらい、まずはパンをカットする。

 

次にシーチキンをカットしたパンの間にのせる。

そしてハムをその上にかぶせるようにのせる。

それから詰め合わせ野菜を上において、その上からさらにチーズをのせるとチーズのベタベタした感じが繋ぎの役割を果たす。

最後にニンニク味の塩を上からふりかけて挟み、後はトマトを口の中に入れてから一気にほうばりながらビールで一気に流し込む。

 

これは僕が旅の中であみだした一番簡単でてっとり早い食事の取り方である。

 

彼もかなりこの簡単な旅料理を気に入ったようで「美味い美味い」と言いながら、むさぼるように食べていた。

 

それから3時間経過し、ようやくザルツブルクに到着した。

 

すっかり仲良くなった彼と駅でお別れをし、僕はザルツブルクの街並みを堪能する事にした。

 

刺さるような太陽の日差しが容赦なく僕の肌を焼いていく。

 

駅近くの公園に行くと暑さからか、だらけきった人達で溢れかえっていた。

 

別に何をするでもなく、ただただ寝転がって暑さをしのいでいるようだ。

ザルツブルクには2日間だけ滞在する事にする予定。

 

この暑さでだらけきった街は一体僕にどんな刺激を与えるのだろう・・・

 

そんな期待をしながら酔っ払った頭を正常に戻すために、僕も彼らと同じようにベンチに横になり昼寝をするのであった。

 

 

 

PS.
このザルツブルクでは思いがけない災難に遭遇してしまった。

 

次回はその災難の話。

 

かなり辛かったが、今ではいい思い出になっている。