日本では芸術系の大学に通っても、卒業後に絵の職につく人はほんの一握りの人だけという現実がある。
僕は普段から絵を描いて生きていきたいが、なかなか上手くいかないという人の悩み相談を受けている。
その中でよく質問される内容が「まだ絵の実力がないので芸大か美大に入学しようと思っていたのですが実際、芸術系の大学に通う必要があるのか疑問に思っています」っという事である。
この方も恐らく自分で調べていく内に美大や芸大に通ったからと言ってアーティスト、芸術家、画家として生活していける人の方が少ないと悟ったのであろう。
今回は芸大、美大に通う事がメリットになる人、デメリットになる人の特徴や美大芸大に通う方が良いのか、それとも通わなくても芸術家として食べていけるようになれるのか?ここに重点をおいてお伝えしようと思う。
メリットになる人とデメリットになる人の特徴
輝かしい希望に満ち溢れたアーティストの道に足を踏み入れながらも日本での活動の難しさから挫折してしまう人がかなり多い事は事実であるが、人によっては芸術系の学校に通う方が良いという考え方もある。
芸大、美大に通って何を得る事ができるのか?
その最大のメリットはやはり共に芸術に身を投じる仲間が増えるという事。
このライバル関係は画力向上や、あなただけの発想を生み出すのに大きく関わってくる事になる。
やはりアトリエで1人黙々と絵を描いているよりも、他人の生み出す独創的な発想の刺激によって、あなた自身の感性も磨かれていき、新しい発想というものが誕生するのである。
ここを考えると芸術系の学校に通う事のメリットは大いにある。
多くの仲間と切磋琢磨して自分自身を磨き上げ、芸術家としても研ぎ澄まされていくのだ。
しかし、人によってはその逆もありえる。
僕はデザイナー専門学校で絵を学んだのだが、そこで、体験して感じた事を少しだけ話そう。
その時の僕のクラスは約30人ほど在籍しており、その中でも僕は下から数えた方が早いほど当時は画力も自分のスタイルも持ち合わせていなかった。
そして周りのクラスメイトは普段から絵を描いていたような連中ばかり。
しかし、当時の僕はそれほどその差を気にする事はなかった。
自分自身を信じて「絶対に画力を上げる事ができる」っというような確信的なものを感じていたからである。
一方、クラスメイトの中でも比較的、初心者に近いような生徒はまわりの画力の高さに圧倒され「自分はなぜこんなに描けないんだ」っと落ち込む生徒もいた。
結果的に彼らは絵を描いて生きる道を諦めてしまった。
これが何を意味するのかと言うと、他人と自分の作品を見比べて
「絶対に自分も上手くなってやる」っと思う人と
「自分は皆みたいに上手くない。自分はダメだ」っと思う人にわかれるため、人によっては芸大、美大に通う事で絵を描いて生きていくという信念を打ち砕かれる事もある。
まぁその前にこの程度で打ち砕かれるくらいの精神力ならどれだけ頑張っても結局途中で諦めてしまうものなのだが・・・
芸大、美大に通う事がメリットとになる人とデメリットになる人の特徴をまとめると
【メリットになる人の特徴】
自分自身のブレない心を持てる人は仲間の作品から刺激をもらえ、画力向上の相乗効果を期待できる。
【デメリットになる人の特徴】
まわりを気にしすぎたり、中途半端な決意で美大、芸大に通うと画力も向上できず無駄な入学金だけを支払う事になる。
このような結果になるので、意識の弱いと思う人は違う方法を選択する方が良いと言える。
絵の専門学校でもいいのでは?
海外のアートスクールに通うなら、日本と比べてもアーティストとして生きていける可能性も飛躍的に上がるだろう。
しかし、どれだけ画力があろうと今の日本の状況ではかなり難しいと言える。
実際に芸大、美大に通うと理解できるが、学校では絵の描き方を教えてもらえるだけで、どのようにすればアーティストとして、または画家として生きていけるのかを教えてくれる所は今はまだないと断言して言える。
重要なのは画力を上げて卒業した後、どのような活動をしていくのかにかかっている。
ここ今、日本に溢れかえっている画家志望の人がやっている活動と同じ事をしても実力や出会いの運などがないとかなり難しいと言える。
僕がおすすめするのはやはり海外にでて活動し、その活動経験を日本で活かすという方法。
これは僕がやってきた事なのだが、思っていた以上に収穫があり、今では「どうしてもZINさんの絵が欲しい」「個展は絶対に見に行きます!」など、このような嬉しい声を毎日メールで頂けるまでに成長する事ができた。
あの素人以下の絵を描いていた当時の自分からは想像もできないほど身の回りの環境が変化していった。
先ほども話したが、僕は芸大でも美大でもなく、普通の専門学校に通っただけである。
専門学校なら300万程度で済み、恐らく芸大や美大と教わる事は、変わりないのではないかと個人的には思っている。
なので結論から言うと、僕のおすすめは専門学校に通って画力を上げ、海外にでて活動し、そこで得た知識と経験を日本での活動にも生かしていくという方法だ。
ちなみに
世界画家旅人の中でも何度か話しているのでチェックしておいて欲しい。
親のお金で学ぶと挫折しがち?
『誰が学費を払うのか?』という所もこれからの画家人生において重要な要素となりえる事に気がついた。
僕も画家を志した当初は美大、芸大に入学したいと考えており、アルバイトをして必死に働いて学費をためた。
しかし、当然500万円〜600万円という莫大な学費を稼ぐ事が出来ず、結局、絵を学ぶだけなので専門学校でもいいかという結論にいたり大阪デザイナー専門学校に入学する事にした。
僕自身は「この必死に貯めたお金を絶対に無駄にしない」っという断固たる決意をしていた。
しかし、まわりの生徒は親の稼いだお金で入学していたため、どことなく僕とは意識の高さが違うのを感じていたのだ。
やはり自分で稼いだお金と第三者が稼いだお金ででは、学ぶ意欲というものが違ってくる。
今思えばその時のクラスのほぼ98%の人が夢を諦めてしまっている現実がある。
この事から出来れば自分自身で稼いだお金で学ぶ方が良いと言えるだろう。
世界を旅する画家のまとめ
結論から言うと
別に芸術系の大学に通わなくてもいいのではないかなと僕は考えている。
結局はあなた自身の気の持ちようで、アーティストや画家として生きていけるのか決まってくる事になるのだ。
もしも、過去の僕があなたと同じような事で悩んでいるとしたらこう言ってあげたい。
「専門学校に行って絵を学んでから海外に行きないさい。そして次に自分を世に出す方法を学びなさい」
なぜこう言いたいのかと言うと、僕はこれらの事をして今こうして絵を描いて生活できるまでに成長できたからである。
今どんなに才能がなくても、また優れた技術がなくても、それは皆同じ事なのである。
しかし、それでも情熱を持ち続けながら継続して行動し続ければ、どんな壁が現れても達成可能なのだから。
僕はこの日本に新たな感性を持ったアーティストが数多く誕生する事を心から願っている。