スキューバーライセンスを取得するためにグレートバリアリーフの上に浮かぶ船の上で一泊した。
前回サメダイビングの話をしたが、その時に事件は起きた。
まき餌をしてサメを誘きよせている所を僕は船の上から見下ろしていた。
僕に教えてくれたインストラクターは、一足先に海面に浮かびながらナイトダイビングを予約しているお客さん達が海に飛び込むのを待っていた。
ツアー参加者全員が無事そろい、2人ずつペアになり順番に潜っていく。
お客全員が潜ったのを確認したインストラクターは、後を追うように海の中へ沈んでいく。
ほんの5秒程でインストラクターの姿が見えなくなり、僕はその光景をコーヒーを飲みながら何となく見ていた。
小さい泡がブクブク海面の上に浮かんでくる。
その浮かんだ泡を観察していた。
小さい泡を追いかけるように少しずつ大きな泡が浮かんでくる。
何かおかしい・・・
泡が一向になくなる気配がない。
そう思った瞬間・・・
とてつもなく大きな泡・・と言うより大きな空気の固まりが海面に浮上してきた。
海面にでる瞬間大きなクラゲのように見えたので、何だこれは?と思っていると、先ほど後を追ったインストラクターも一緒に浮かんできた。
「とれたー!」
彼のボンベからのびている酸素を送るチューブが、勢いよく四方八方に暴れている。
インストラクターは叫びながら必死で暴れ回るチューブをつかもうとしているが、動きが早いので中々つかむ事ができない。
海面で一人パニックになっているインストラクターを見ながらコーヒーを飲み、明日の事を考えていた。
今日でこの海の生活は終わり。
無事にライセンスを取得する事ができたので安心した。
明日は公園で絵を描く生活に戻る事にする。
この数年後・・・世界を旅する中でガラパゴス諸島にいく事になり、そこでハンマーヘッドシャークと言う頭がトンカチのような形になっているサメと一緒に泳ぐ事になる。
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